「ALOIS CARIGIET Leben und Werk」Hansjakob Diggelmann

純粋なもの、素朴なもの、絵本というものは、基本的に子どもに向けられたメディアだから、そうしたものが絵本作品の中には多く含まれている、そんな風に思われている方も多いかも知れませんけれど、個人的には意外にそうでもないのではないか、なんて、思ったりしています。

だったら誰の作品が、と問われると、わたしはこの作家、アロイス・カリジェの作品を挙げたい、なんて思うのです。

カリジェの作品の中にはいつも、他の作家の作品では余り感じられないような、何かしら純なものが、ある気がするのです。

スイスの絵本作家アロイス・カリジェは翻訳作品がいくつも出ており、また安野光雅さんなどによる紹介もあって、ここ日本でもよく知られた作家だと思います。

本日はそのカリジェの大判の作品集を更新しております。

ここまで充実したカリジェの作品集は、日本では余り見ることはないのではないでしょうか。

絵本はよく知られていますけれど、カリジェのキャリアは広告/グラフィックデザイナーとしてスタートしました。

20代中ほどの頃にはその仕事は良く知られるようになり、自身のスタジオも持つほどになっています。

この作品集ではそうした、絵本以外の仕事の作品も数多く掲載されております。

広告/ポスターなどは、子どものための作品ではないのですが、今、カリジェの絵本作品を知っている目から見ると、既にその作品の中には、のちに生み出される絵本作品に通じるものが感じられます。

それは、この作家の持っている、何か純粋な部分、それをなんと呼べば良いのでしょうか。

ポスターの仕事、油彩作品、デッサン、そして絵本の仕事。

この作品集では彼の生涯の仕事を見渡せるのですけれど、そのそれぞれの作品の、筆のタッチも、描かれた対象も、描かれた作品が向けられた相手も、それぞれに違っても、その純粋なものが、その作品の中からは感じられるのです。

是非こちらの作品集、オンラインストアの方でもご覧下さい。

ちなみにこの作品集、カバーを外すと本体は布装になっていて、そこにはカリジェのデッサン作品が描かれています。そんなところも魅力的な一冊です。


当店のアロイス・カリジェの在庫はこちらです。

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