「大聖堂」レイモンド・カーヴァー/シバタリョウ

シバタリョウさんの個展「窓からの景色」の作品は昨日からオンラインストアでも販売を開始しております。

こちらはアメリカの小説家レイモンド・カーヴァーの『大聖堂』から描いた3作品です。

この『大聖堂』という作品はカーヴァーの中でも特に評価が高い短篇の一つかと思います。

お話は、とある夫婦のところへ、妻の昔の知人である盲人が泊まりに来る、というものです。

夫は盲人が泊まりに来るなんて、何かちょっと面倒だな、と思っている、けれど妻はこの知人とは、特別な思い出があるので、気持ちよく過ごして欲しい…、そんな少しだけすれ違っている夫婦の気まずい家の中の空気。

妻は、結婚するずっと前にひと夏、この盲人のところで代読のアルバイトをしたことがあり、それ以来、ふたりはカセットテープに言葉を吹き込んで近況をずっと知らせてあっていました。

やってきた盲人。変わらず気まずい空気。食事をして、酔いもまわり、妻は先に眠ってしまう。

盲人と、夫のふたり、つけっぱなしの深夜のテレビ番組では、旅番組がやっていて、大聖堂が映し出されます。

夫は盲人に大聖堂がどんなものなのか、言葉で説明しようとしても、上手くできない。上手く説明できないな、と言うと、盲人が大聖堂の絵を描こう、と提案をするのです。

わたしの手と重ねて、描いてみて、と。

奇妙なことになった、と思いながらも描き始める夫。

上手く描けてる、その調子、と盲人は声を掛け、夫は描き進める。

屋根

尖塔

アーチの付いた窓

飛梁

大きな窓

盲人に声を掛けられながら、筆がどんどん進む。いつの間にかテレビは放送終了している、それでも描き続ける、妻が起きてきた、何をしているの?

我々は大聖堂を描いているんですよ、と盲人。

目を閉じて、と言われ、夫は目を閉じて更に続きを描いていく。

紙の上を動き回る手。

今まで感じたことのないような不思議な気持ちになっていく…。

できたじゃないか、目をあけてごらん、盲人にそう言わるが、夫はまだ目を閉じていた、そうしなければいけない気がしていたのだ、あと、少しだけ。

シバタリョウさんはこの作品から3つの作品を描きました。

どうぞ御覧下さい。

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