わたしたちが自然を美しいと思うこと。
ここのところようやく穏やかな天気が続き、夕方に散歩へ出て暮れていく空を眺めていると、今日の季節がここにあって、その季節の中の穏やかな一日の中にいられることの喜びで身体がいっぱいになってきます。
けれど、幾つかの絵本は、本の中でだけでも、そのことを味あわせ、思い出させてくれるのです。
こちらの絵本「Die glücklichen Eulen」は直訳で「しあわせなふくろう」です。
このタイトル、この絵本の表紙、絵本好きの方はピンと来たかもしれません。
日本でもチェレスチーノ・ピヤッチが絵を描いているものが翻訳され出版されている「しあわせなふくろう」、そうなんです、こちらと同じお話の絵本なんですね。
原作はTheo van Hoytemaというオランダの画家/デザイナーの作品で、元々はオランダの古い民話からのお話だそうです。
あるところに幸せに暮らすフクロウの夫婦がいました。彼らは穏やかに、いつも静かに暮らしています。
それとは対象的に、農家の庭で飼われている鳥たち、ニワトリ、クジャク、アヒルたちは食べたり飲んだりする以外はいつも喧しく、ケンカばかりしています。
いつも穏やかに暮らすフクロウの夫婦を、庭の鳥たちは不思議そうに眺めていましたが、ある時彼らは、フクロウの夫婦が何故いつもそんなに穏やかでいられるのかと、尋ねに行くのです。
フクロウの夫婦は語ります。
春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来る。
それぞれの季節の美しさと、その自然の移り変わりの中で暮らすことの喜びを。
まるで詩を読むかのように、夫婦は自然の美しさを語るのですが、庭の鳥たちは聞き終わるとなんて馬鹿らしい!とまた変わらぬ喧騒の日常の中に戻っていってしまうのです…。
当店が本日新入荷商品として更新したこちらの絵本は、絵を描いているのは Helmut Bischoffというドイツの画家です。
Helmut Bischoffの描く木版の絵は、フクロウの夫婦の語る四季の美しさを余すことなく伝え、読者をその自然の美しさの中に引き込んでくれます。
春の花々、夏の月、秋の色づく木々、冬の静けさ、Bischoffの描くそれらの自然が、ページをめくる人間の身体の中でも輝き出し、その季節の記憶を思い出させてくれるのです。
チェレスチーノ・ピヤッチが絵を描いている日本語版のものも美しい絵本ですが、個人的にはこちらのHelmut Bischoffの絵本のほうが好みです。とっても大きい判型なのも嬉しいですね。
当店のHelmut Bischoffの絵本はこちらです。
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