「Zajatci stříbrného slunce」Miloš Kratochvíl 出久根育 絵

昨日お知らせいたしました出久根育さんのチェコ絵本、本日オンラインストア更新されております。是非、ご覧になってみてくださいね。

初日の今日は「Zajatci stříbrného slunce(とらわれた銀の太陽)」をご紹介させていただきます。ミロシュ・クラトフビールによる子ども向けの読み物ではありますが、少し複雑な内容で、大人も一緒になって考えさせられるおはなしです。

お父さんに買ってもらったコンピューターの戦争ゲームに夢中になっていたマレク。ある日、胸に三つの銃弾の跡をもつアダムという、白い影のような少年に出会います。そして、その少年に連れられ見知らぬ廃墟の街へと行くことに。

その街にはたくさんの子どもたちがいて、マレクは仲良くなり遊ぶようになります。しかし、マレクは次第にそこはかつてマレクがゲームの中で滅ぼした街で、その人々はマレクが銃撃した人たちということに気付いていきます。

すると突然、銀いろの太陽がブーンと音をたてて現れ、武装して銃を持ったたくさんの兵士たちが登場すると、今度はマレクへと銃が向けられます。驚き慌てたマレクは、次の瞬間ふと夢から覚めます。マレクの部屋ではお父さんがまさにそのコンピューターゲームを始めたところで、マレクはゲームの中で次の犠牲者になろうとしていたのでした…。

戦争ゲームを主題にした絵本ということもあり、どこか暗く重く響く箇所もありますが、全97ページ全てに渡って描かれた出久根さんの柔らかいタッチの絵は、子どもの無邪気さや優しさを映したように温かくもあります。

出久根さんは印象の違ういくつかの作風で絵本を描かれていますが、この本は日本で出版されている「クレヨンマジック」の作風と似ているかと思います。

この本に使われている絵は、以前外苑前のギャラリーで原画を展示されていたことがあり、そこに来ていた方たちが、どこかイジー・トゥルンカを彷彿とさせると言ったお話をされていて、なるほど、と思ったことがありますが、出久根さんの絵は、日本とチェコとが合わさった唯一無二の魅力があるように思います。

しっかりした読み物でありながら、全ページに出久根さんの絵を楽しむことのできる贅沢な一冊です。また、出久根さんのご厚意ですべてイラストとサイン入りになります。ご興味ございます方は、是非お早めにチェックしてみてくださいね。


当店の出久根育さんの本はこちらです。

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