「Le visage de la paix/Das Antlitz des Friedens」Pablo Picasso Paul Eluard

8月はいつも平和について考えます。

この暑い季節の青い空に、そうした思いを浮かべてしまうのは、勿論この国の記憶がそうさせているのですけれど。

本日更新した本の中に、反戦を叫び続けた詩人と画家の、1冊の本がありました。

ピカソ、そしてエリュアールによるインゼル文庫の「Le visage de la paix/Das Antlitz des Friedens」(仏独併記版)と言う詩画集です。

日本語ではそのまま「平和の顔」と言う題ですね。

この二人は深い友情の絆の中で、時に呼応しあい作品を制作しました。

ピカソの代表作でもあり、悲痛なまでに反戦/非戦のメッセージを伝える「ゲルニカ」、これはとても有名な作品ですが、エリュアールもこれに同調するように「ゲルニカの勝利」と言う詩を発表してもいるんです。

この「Le visage de la paix」は戦後、1951年に発表された作品です。

戦争が終わり、やってきた平和の時代がいつまでも続くように、そうした願いが、この作品には込められていると思います。

エリュアールの詩と、ピカソの絵。

ピカソが戦後、平和の象徴として数多く描き始めた鳩と、そして人間の顔が結びついていくピカソの連作と、エリュアールの詩の、詩画集です。

こんなにも美しい詩画集が、可愛らしいインゼル文庫で手許におけるのは、愉しいことですね。

エリュアールの詩は29連からなり、部分を切り取っても、平和についてのアフォリズムのような響きもあります。拙訳で申し訳ないですが、少しだけ紹介させて下さい。


1

ぼくは知っている

鳩の暮らす あらゆる場所を

でもいちばん素晴らしい寝床というのは、人の頭の中なんだ


4

人の顔は知っている

自らを省みる、その翼のもとで、美しいものが役立てられることを


5

すべてのパンのために すべてのバラのために

ぼくたちは誓った

ぼくたちはおおきな一歩を進める

その道は それほど遠くないんだ


16

なんという長い年月を 人は人のことを恐れていたのか

頭の中へ連れて来ていた、あの鳥たちさえも


18

ぼくの幸せは みんなの幸せで

ぼくの太陽は みんなの太陽だ

ぼくたちの命はそれぞれに与えられたものであるけれど

その場所やその時間は、みんな同じものを分け合っている


27

きみの翼をひろげなければ

美しい顔

穏やかな世界へと至らなければ

それからぼくたちは 現実になるんだから




当店のエリュアールの本はこちらです。

ピカソの本はこちらです。

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