「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」で知られるスティーヴンソンはちょうどその二つの作品の間に子どものための詩集「A Child’s Garden of Verses」を出版しております。
この絵本はその中に収められた「旅」という詩を、和田誠さん自らが翻訳し、絵を付けた作品です。
スティーブンソンの踏む脚韻を、和田誠さんがリズミカルに見事に日本語に写していて、何度も口に出して読んでみたくなる詩です。
冒頭を引用しますと
I should like to rise and go
Where the golden apples grows
ぼくは行きたい 今すぐに
金のりんごの 実る国
と、旅への思いを掻き立てる魅力的なフレーズで始まります。
ページをめくっていけばこの詩と絵で、そのまま旅へと連れだされ、ナイルのワニや、オウムの島、中国の長城、赤い鶴、それぞれの遠い異国の地を、耳と目だけではなくて、匂いまで感じ取れるような、そんな感覚を与えてくれる絵本です。
あとがきによればスティーヴンソンの父親は灯台技師だったとのこと。そうした生い立ちが、この詩に流れている旅への憧れを培ったのかもしれません。
詩とともに絵も素晴らしく、数多くの絵本作品を出されている和田誠さんですが、その中でも屈指の傑作絵本だと思います。
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