「まがれば まがりみち」井上洋介          Inoue Yousuke

こちらは井上洋介さんの「まがればまがりみち」です。

井上洋介さんは、そのキャリアを漫画家から出発し、絵本作家へと進んだ点で長新太さんや佐々木マキさん似た経歴を持っています。長新太さんとはほぼ同世代ですが、少し下の佐々木マキさんの自伝エッセイ「ノーシューズ」では、高校生の時に井上さんの漫画作品を読み、という事も書かれているので、かなりの影響を与えていたのは間違いないのでしょうか。

こちらは1990年の作品ですね。わらべうたのようなリズムの良い言葉が繰り返されます。

「ひぐれ町の 曲がり道 何が出るのか 曲がり道」

そこからは大きながまさんが出たり、まよい電車が出たり、一番星を見たり、と不思議なものや、当たり前のものとの出会いがあります。

読んでいると、ずっと小さかった頃の夕暮れ時の帰り道を思い出して、その頃の、夕闇に感じた好奇心と少し怖いような感情の入り混じった、懐かしい感覚を思い出します。

「ナンセンス」の道を歩いた井上さんの作品らしく、意味を伝達するよりも、ある独特な感覚や感情を共有することが出来る、不思議に魅力的な作品です。


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