以前「木の国の旅」ル・クレジオを紹介したこともあります、日本語版では「フランスの傑作絵本」のシリーズですが、こちらはその原書版で、パリで買い付けてきたものです。古書店のオーナーさんと話している時に自分の専門は文学なんですけど…みたいな話をしていたらこのシリーズを勧めて頂き、まとめて譲らせてもらいました。
以前紹介したときにもお話しましたがこのシリーズは(原書版のシリーズ名は「ENFANTIMAGE(「子ども」と「イメージ」をくっつけた造語ですね)」です)テキストのラインナップがすごいんです。
本日更新した6冊ではカフカ、ヘミングウェイ、ジャック・プレヴェール、アイザック・シンガー、などがテキストを書いている絵本で、文学好きなら思わず飛びついてしまうような豪華な作家陣ですよね。ちなみにどれも日本語版のシリーズの方では出ていないものです。
中でも注目したいのが詩人のジャック・プレヴェールのテキストにエルザ・アンリケが絵をつけた「LE DROMADAIRE MECONTENT」(不機嫌なヒトコブラクダ)と言う絵本です。
全く変なお話で、ヒトコブラクダの子どもが講演会に行って(この子はサーカスにでも行くつもりだったようなのですが…)、ヒトコブラクダとフタコブラクダの違いを説明するその「謎の」講演会を聞いているうちに腹が立って暴れる、と言うお話…。
お話の最後も、暴れたヒトコブラクダに、周りの人々が口々に「フタコブラクダ!汚いフタコブラクダめ!」と罵る中で、ナレーションが「彼はとっても綺麗なヒトコブラクダなんですけどね」と言って終わると言う、読者を置いてけぼりにしていくような、爽快な面白さをもった絵本です。
こんなお話にピッタリの絵を描いているのはエルザ・アンリケです。感覚で言うと長新太さんや、チェコのイジー・シャラモウン、同じフランスではアンドレ・フランソワなどと近いものを持つ、何処か抜けた、子どもの絵の様な(最大級の褒め言葉です)無垢な絵を描く作家ですね。アウトサイダー・アートを思わせるような不気味な深さも感じさせます。
エルザ・アンリケはとてもとても好きな作家ですので、またいつか詳しく紹介させて下さい。
アートが好きな方や文学畑の人なら必ず楽しめる絵本のシリーズですので、是非オンラインストアの方でもご覧ください。
当店のフランスの絵本絵本はこちらです。
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