レベッカ・ブラウンによる、コッラーディのピノキオの翻案作品「ゼペット」が入荷しました。
絵はカナイフユキさん、翻訳は柴田元幸さんです。
(当店初回入荷分については柴田元幸さんのサイン入りのものをご用意しております)
以下出版社からの本の紹介の引用を少し。
『体の贈り物』『若かった日々』『家庭の医学』などで知られるアメリカの作家、レベッカ・ブラウンの小品「ゼペット」を、柴田元幸の翻訳、カナイフユキの絵によって、絵本にしました。
レベッカ・ブランが夢見なおした「ピノキオ』です。
人間になんかなりたくない、命なんかほしくないと言い続けるピノキオを抱えた老人のお話。
その悲しみと優しさに、カナイフユキの色彩が寄り添います。
引用終わり。
読み始めは、反出生主義のピノキオかぁ…などと思うのですが、そうそう単純な構図には収まらない、短いながらも奥行きのある不思議な作品です。
カナイフユキさんの絵も素晴らしいです。カナイさんによってこの作品が『絵本』になっているのです。
絵本の絵とは、センダックが言っていたように、テキストにあることをそのまま描くことではないのですね。
カナイさんの絵は、テキストの余白を埋めつつ、またこの絵によって新たな余白が生まれている…。まさに絵本の絵ですね。
ラストシーンの絵も素晴らしいです。
ネタバレになってしまいそうなのでハッキリ書けませんが、このラストシーンに『それ』が描かれていないことが、悲しいことなのか、それとも喜ばしいことなのか、そのどちらとも感じられるのですね...。
それがそこに居ないことを、読者はどのように受け止めれば良いのか...。
生きたのか、それとも生きなかったのか。
ラストシーンから少し戻りますが、衰えゆくゼペットの描写のページを読んでいる時に、何故か、カール・テオドア・ドライヤーの『奇跡』を自分は思い出しました。あの静けさ。
とても、美しい絵本です。
小さな子供が読む作品というわけではないですけれど(子どもに読ませるなら小学校高学年〜中学生位以上からが良いでしょうか…?)、沢山の人に読んで欲しい作品です。
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「ゼペット」レベッカ・ブラウン 柴田元幸 カナイフユキ
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