「SELECTED FABLES」Alexander Calder

アレクサンダー・カルダーというと、そのモビール作品があまりに有名ですが、こんな絵本も作っているのですね。

日本ではラ・フォンテーヌ寓話として親しまれている幾つかのお話に、カルダーがイラストを付けたのがこの絵本です。

彼のモビール作品の前身には「カルダーのサーカス」という針金で制作したパフォーマンス彫刻作品のシリーズがあるのですが、この絵本のイラストも、その「サーカス」の作風に似て、特徴的なシンプルな線で動物たちや人間が描かれています。

ラ・フォンテーヌのお話は知っているお話も多いかと思いますが、どれも短いもので、基本的には擬人化された動物たちの軽妙なやり取りによって、人生の機微を学ぶといった教訓話になっています。

ラ・フォンテーヌ寓話はイソップのお話を下敷きにした詩で(日本語訳では詩として訳されているのは少ないかもしれません)、様々な絵本作家によって絵本にされておりますが、カルダーがこのお話を描くと、やっぱりまたひと味違ったものになっています。

一見ユーモラスな絵なのですが、何処かグロテスクな部分もあり、登場する人間はすべて裸で登場しています。ラ・フォンテーヌ寓話において登場する動物たちはみな人間のようで、また人間たちは動物のようなので、ひょっとするとそれを暗示しているのかもしれません。

またこれは過剰に読み取り過ぎなのかもしれませんが、この絵本のイラストの中にデュシャンの作品「(1)落下する水、(2)照明用ガス、が与えられたとせよ」に見えるようなドローイングもあり(カルダーの「モビール」という作品名は親交のあったデュシャンが名付けたものなのです)、これもとても興味を惹かれます。

イラストレーションの世界の人間ではなく、アート分野の作家が作ったこの絵本作品は、普段絵本を読むのとはまた違った読み方/見方が色々と出来て面白いですね。

一緒に並べたブーテ・ド・モンヴェルのラ・フォンテーヌ寓話も只今在庫がございますので(こちらはまた本当に可愛らしいラ・フォンテーヌで「イラストレーション」としての完成度も抜群です)是非オンラインストアの方でもご覧ください。

カルダーの絵本は英語でモンヴェルのものはフランス語です。

ちなみにパリで買い付けてきた本の中にはアンドレ・エレのフォンテーヌの本もあるので(日本語版で出ているものとは違うヴァージョンのものです)これも近々up予定です!楽しみにして頂けたら嬉しいです。


当店在庫はこちらです。

SELECTED FABLES」Alexander Calder

LA FONTAINE FABLES」M. Boutet de Monvel

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