「スリスリとパッパ」二宮由紀子 文 100%ORANGE

100%ORANGEさんは一見誰が見ても可愛らしい絵ながらもデザイン性の高さを保った、絵の深み、奥行きを感じさせる素晴らしい仕事をなさっていますが、この「スリスリとパッパ(2015年作)」もそうした可愛い絵、お話というだけにとどまらない魅力を放っています。

スリッパの右足と左足であるスリスリとパッパが、仲良く、喧嘩もし、一緒に眠り、夢を見て、というお話です。

こうした、人の身近な「もの」が話しだす、という出来事は、楽しいものでもありますが、その反面何処か不気味な感触もすることを、子供の頃からいつも感じていたように思います。夜中、自分の眠っている間に部屋のおもちゃたちが話しだして、、、こうした想像力には好奇心と恐怖心が混ざったような、不思議な魅力が感じられはしないでしょうか。

この絵本の100%ORANGEさんの絵も、僅かにではありますがそうした不気味さが感じられます。(100%ORANGEさんの作品では漫画作品のSUNAO SUNAOなどで特に顕著に感じられると思います)

表面的な「可愛らしさ」を超えたこの味わい深さは、この作家が既に「イラストレーター」という枠を越えた特別な作家であることの証明であるとも思います。この作家のこれからのお仕事が楽しみでなりません。

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