昨日は冬の、ある種の「親密さ」について少し書きましたが、反対に今日は冬のある時期の「よそよそしさ」について書こうと思います。
本日はクリスマス絵本をまたオンラインストアの方に更新させて頂きました。
その中の一冊、当店でもとても人気のある作家ベアトリーチェ・アレマーニャの「Après Noël」(クリスマスのあとで)も更新しております。
この絵本はそのタイトルの通り、クリスマスが終わった後(翌日?)のお話です。
終わった後なので、クリスマスのことは何も書かれていないのですけれど、書かれていないからこそ、その不在が、それが一体どんなものだったかが、読むものの中により浮かび上がってくるようです。
こんな風に始まります。
クリスマスのあと、ディジエールおばさんは編み物を習い始めました。
(アパートの一室で編み物をしているご婦人が描かれています…)
クリスマスのあと、ミシェルとカッサンドラは一日中ケンカしていました。
(家の中でじゃれ合っている二人の女の子が描かれています)
クリスマスのあと、ショコラティエ・シーガルの工場は再び動き出しました。
(工場の絵です)
クリスマスのあと。ニーナは新しい自転車で、町へウィンドウショッピングに行きました。
(町中を女の子が赤い自転車に乗って通り抜けています)
クリスマスに何があったのかは描かれてはいないのですが、クリスマスに彼らに何があったのかを、どこか優しい気持ちで思い馳せることが出来ます。
こんな風にしてクリスマスのあとの、色々な人々の様子が描かれた後に、最後はこの絵本の語り手である「わたし」が登場してきます。
クリスマスのあと、わたしはお父さんとお母さんと、映画に行きました。
そしてわたしの家の通りでは素敵なレストランがオープンして…
(「わたし」は自分の部屋の窓から町を眺めながら呟きます)
クリスマスのあとって、何もかもがちょっとだけ、変な感じがする。
これでこの絵本は終わっています。
お祭りの後の不思議なさみしさや、何もかもが遠くに感じるようなそんな感覚。
個人的には日本人だからか、クリスマスのあとと言うよりも、お正月の後にこうした感覚に陥りやすい気がしますね。
ところで最後の文章は、
「Après Noël, tout est un peu étrange…」
となっています。
étrangeはフランス語で奇妙、とかそのような意味でétrangerは外国とか、外国人を意味します。これは英語のstrange/strangerと同じラテン語を語源に持つ言葉でよそよそしさ、未知のものを意味します。
こうしたétrangerの感覚、クリスマスのあとの不思議な気分を思い出させる、こんなクリスマス絵本を、オシャレで美しいアレマーニャの絵で楽しんでみては如何でしょうか。
当店在庫はこちらです。
「Après Noël」Beatrice Alemagna
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