翻訳作品にはしばしば見られることですが、作者名を日本語に移す際に、まだその作者名の日本語での呼称が定まっていないと、翻訳者ごとに様々な人名表記になってしまうことがあります(俗に言う表記揺れですね)。
これは読者にも不要な混乱を生み、検索などにも引っ掛かり難くなり、こうした理由で埋もれてしまっている作品も、実は幾つもあるんです。
この絵本「おばあちゃんのおみやげ」もそんな一冊だと思います。
お話を書いているのはニューベリー賞作家スコット・オデール、絵を描いているのはコールデコット賞作家のレナード・ウエイスガード…。
そう、今では「レナード・ワイスガード」の表記で定着しているアメリカの絵本作家ですね。
当店でも人気のある作家で、日本語に翻訳されていないものも度々紹介してきたお馴染みの作家ではございますが、表記揺れが原因で埋もれてしまい(出版社がマイナーなど、他の理由もあるかもしれませんが)、あれ、こんな絵本も出していたんだ!と思った方もいるかもしれません。何を隠そう、私もそうでした!
お話は、離れて働く父親の元へ、家族が会いに行く際におばあちゃん特製のピクルスを届けに行く話、とそのまま説明しても、何だかあまりイメージが浮かびにくいでしょうか。
舞台はアメリカのウエスト・ヴァージニア〜カリフォリニア、時代設定は20世紀前半頃と思われます。人々の仕事や生活風景なども、今のお子さんが読むと、少し不思議な感じがするかもしれません。
お話がこう、リアリズム寄りの作品なので、ワイスガードの絵も他の作品に比べるとデザイン性が少し抑えられていて、違った作風に見えますね。
ですが、細かな部分にはたしかにワイスガードの筆の跡は感じられ、やはりこの作家の持つ特別なものが輝いているのを発見すると嬉しくなってしまいます。
写真に上げたページは、日本で知られているワイスガードらしさとこの絵本特有の作風が融合した、独特な感触が良くわかるページかと思います。
ちなみに巻末には特製ピクルスのレシピが載っていますよ!
当店在庫はこちらです。
「おばあちゃんのおみやげ」スコット・オデール レナード・ワイスガード
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