この絵本はセンダックとジョスリンによるとっても愉快な、若き紳士、淑女のための礼儀作法の本、「そんなときなんていう?」です。
普通じゃ考えられないおかしなシチュエーションを持ってきて、そこへ、礼儀の挨拶を繋げ、楽しく面白く、礼儀作法の挨拶を教えてくれる、大人でも子どもでも、楽しく読んでしまう、そんな絵本です。
中の一節をまるまる引用したほうがわかりやすいと思うので、まずはじめの「そんなときなんていう?」を。(本文は全て平仮名ですが、ここでは漢字に変えています)
町の真ん中で一人の紳士が、
みんなに赤ちゃんゾウをあげている。
いつも欲しいと思っていたから、
君も一頭うちへ持って帰りたい。
でも、まず紳士は君を赤ちゃんゾウに紹介する。
そんなとき なんていう?
「はじめまして。」
こんな風に、色々な礼儀の挨拶の言葉が「どうもありがとう」「どういたしまして」「すみません」「いいえ、けっこうです」などなど、そんな挨拶が、本当におかしなシチュエーションで出てくるのです。どんな時に出てくるかは是非読んでみて下さい。
この絵本の面白さを豊かなものにしているは、勿論センダックの絵の力が大きいと思います。
この、センダックの絵本にしばしば出てくる「大人を演じている子どもたち」彼らのユーモラスな仰々しさ、バカ丁寧な身振りに、思わず笑ってしまいますね。
この子どもたち(大人を演じる子ども)のモデルはセンダックを好きな方には良く知られていると思いますが、まだセンダックが無名だった頃、ブルックリンで近所に住んでいた女の子「ロージー」なのだと思われます。
センダックはその頃、部屋の窓からロージーたちが遊ぶのを眺め、その様子をスケッチし、どんな遊びをしているかもメモしていました。これは後に「ロージーちゃんのひみつ」という絵本にもなるのですが、そのロージーはセンダックの絵本の至る所に顔を出しているように思えます。
この辺りの話は「センダックの世界」に詳しいですので、ご興味がある方はこちらもお読み下さい。
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「そんなときなんていう?」M.センダック S.ジョスリン
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