今日入荷商品として更新した本の中に、一冊の小さな美しい詩集がありました。
Robert Louis Stevensonの「A Child’s Garden of Verse」です。
ペーパーバックの、手のひらに収まりそうなサイズの、道端で摘んだ花のような詩集です。
「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」で知られるスティーヴンソンがちょうどその二つの作品の間に、子どものための詩集、この「A Child’s Garden of Verses」を出版しました。
当店でも、和田誠さんが翻訳し挿絵を付けもの、アリス&マーティン・プロヴェンセンが挿絵を描いたものなどを紹介したことがありますが(どちらも素晴らしい絵本です)、本日入荷したものはイーヴ・ガーネットが絵を描いています。
薄いペンシルのような筆致で描かれているガーネットのその絵は、色褪せた、幼いころの自分の写真を見るように、何処か懐かしく、そこには暖かい愛情と視線が溢れているように感じられます。
このスティーヴンソンの詩集は幾つも絵本作家が挿絵を描いていますが、その中でも、この詩集のもつ「ノスタルジー」の部分を一番強く表現しているのが、このイーヴ・ガーネットの「A Child’s Garden of Verse」であると思います。
少し長くなってしまうのですが、最後に、この詩集の巻末に載っている「TO ANY READER(読者に)」という詩の始めの部分を引用させて下さい。訳は高村規子さんです。
五月の澄んだ青空の下
足をのばして のんびりと
お庭の椅子にもたれかかり
そばにおとながいないとき
心地よさそなソファーの上の
ふんわりとしたすみに陣どって
両手にこの本を取りあげて
よその国にはいりなさい
なぜってほら(子供らがよくやるように)
庭の木立を探検したり
がらくたのある屋根裏部屋や
鋲打ちつけたドアの地下室….
当店には英語版と、日本語の編注が付いた版(翻訳ではありません)がございます。
是非ご覧ください。
「A Child's Garden of Verses」Robert Louis Stevenson Eve Garnett
「A Child's Garden of Verses 童心詩集(日本語解説付き版)」R・L・スティーブンソン イーヴ・ガーネット
0コメント