本日はここ日本でもとても人気のある作家エドワード・ゴーリーの絵本を幾つか更新しましたが、この中になかなか珍しい絵本があります。
「The Beasty Baby」という絵本です。
作者の名前はEdward GoreyではなくOgdred Wearyとなっています。
ゴーリーのファンの方なら良く知っていると思いますが、この「Ogdred Weary」と言うのはゴーリーのアナグラムも用いた変名で、ゴーリーはこうした変名で幾つかの本を作っているのですね。いかにもゴーリーらしい遊び心ですね。
この絵本「The Beasty Baby」は1962年にOgdred Wearyの名前で私家版として出版されました。当店の在庫品はこの私家版のものではなく1995年に復刊された復刻版のものですが、この復刻版ですらなかなか手に入るのは難しくなっています。
お話はやっぱりいつものゴーリー節です!
可愛くない(?)巨大で乱暴な赤ん坊が暴れまわり、悲惨な最期を遂げます…。
ゴーリーの絵本はその一見無意味に思える暴力性、残酷さが読む人を選ぶ気もしますが、自分の周りにはゴーリーに対して批判的な意見を言っている人は見たことがないですね…。これはちょっと不思議な事かもしれません。
確かにゴーリーの絵本は残虐なお話が描かれているかもしれません。(いや実際に描かれているのですが…)けれど、その絵本の中にあるのは「暴力」と言ったことではなく、この普段生活している世界とは違った何か「strange/奇妙なもの」が描かれているという感じなのです。
このことを思うとゴーリーはH.P.ラヴクラフトと共通する部分を持った作家だったとも思えます。
善と悪が未分化のまま無表情で通りを歩いて行く、ゴーリーの絵本はそんな未知の部分、この世界が選択しなかった幾つもの可能性の世界を露わにし、読者の前にそのまま差し出してくるのです。
それがどんなに悲惨な世界であろうと、作者はそれについて「良い」とも「悪い」とも言わずにただそのまま差し出している気がするのです。
だから私はエドワード・ゴーリーのことを、とても正直な作家だと感じます。この正直さが、こんな作風にも関わらず、多くの人に受け入れられている理由なのではないかとも思います。
この絵本「The Beasty Baby」は珍しい絵本ですので、是非オンラインストアの方でもご覧ください。
当店のエドワード・ゴーリーの絵本はこちらです。
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