エイドリアン・アダムスの絵本は、魔女たちが活躍する「夜」の絵本と、可愛らしいウサギたちが主役の「昼」の絵本、その二つが有名でしょうか。
このグリム童話の「JORINDA AND JORINGEL」はそんな夜の絵本です。
二人の愛しあう若い若者が森の中で迷ってしまい、魔女の住む城へと近づいてしまったために魔法をかけられ、娘ヨリンデは小鳥に変えられてしまいます。若者ヨリンゲルは城に閉じ込められたヨリンデを救うために、夢で見た魔法を解く花を探し出し、ヨリンデを救い出す、そんなお話ですね。
以前このお話の絵本はバーナデット・ワッツのものを「怖さと好奇心が入り交じったような気持ちにさせてくれる絵本」として紹介致しましたが、このアダムスによる「ヨリンデとヨリンゲル」はワッツのものよりもデザイン的に洗練されている感じですね。
色彩のバランス、画面構成などからはアダムスのそうした優れた感覚が覗えます。ですがだからと言って、デザイン的な絵に寄り過ぎていないところも彼女の絵の魅力ではないでしょうか。
魔女シリーズで日本では特に人気が高いと思うのでご存知とは思いますが、彼女のその夜の表現は、物語の奥行きを失わないままで(デザイン性を優先させると絵の物語性が失われる傾向があると思います)美しい画面を見せてくれているのです。
絵が鳴っているのではなくて、耳を澄ますと、そっと、その絵が囁いているように感じるのです。
この絵本の当店の在庫商品は1968年の初版のものです。古い刷の本なので、なおそう感じるのかもしれません。
カバー付きで状態もかなり良い本です。このくらいの年代の刷のものになってくると、状態の良いものを見つけるのはとても難しいですので、エイドリアン・アダムスがお好きな方には特におすすめです。
印刷、紙の雰囲気も素晴らしく、宝物になる1冊だと思います。
現在はバーナデット・ワッツ版の「ヨリンデとヨリンゲル」の在庫もございますので、是非オンラインストアでも御覧ください。
*申し訳ございません…。こちらの紹介記事を書いている途中で既にお買い上げ頂きました。ありがとうございます。
今後もエイドリアン・アダムスの絵本は随時入荷致しますので、また楽しみに待って頂けたら嬉しいです。
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