明日から6月が始まりますね。6月の第一日曜日にも恒例となりました綱島・駒岡のレコード、アンティーク、カフェrさんのマルシェへ出店させていただきます。そちらの告知は改めて投稿させていただきますね。
5月に入ってから全国的に何度も夏日を記録し、すでに暑さ対策、日よけ対策を本格的にされている方も多いのではないでしょうか。夏の間に何度もかぶる帽子、夏にだけ時間を共にする帽子には、ひと夏の思い出が染み込んで、気が付けばひっくり返したら溢れてしまうほど思い出が詰まっているのかもしれません。
今日ご紹介する絵本「むぎわらぼうし」は、実は夏の終わりのお話なんですが、これから夏を迎えるこの時期に、その特別な時間が始まるんだということを、教えてくれる本でもあるんです。
お話は竹下文子さん。言わずと知れた児童文学作家さんですね。著書も翻訳作品もたくさん出版していらして、旦那様は鳥の巣の絵本などで知られる画家鈴木まもるさんです。
主人公の女の子るるこは夏のはじめに買ってもらったむぎわらぼうしをおねえさんとのおでかけにかぶっていこうとします。しかしおねえさんは、もう秋なんだからかぶっていくなら連れて行かないと言います。まだ夏よ、とるるこは頭にかぶったぼうしをうんと深くひっぱります。すると、るるこはすっぽりぼうしの中に入ってしまいます。まっくらなるるこの視界の中に、やがて夏の出来事がきらきらと眩しく、鮮明に映し出され…。
短く語られる竹下さんの柔らかい文章に、るるこの繊細な心の揺れがふしぎと心地よく感じられ、夏の終わりの夕方のような切なさが漂います。
そして、もうここでは何度もその絵の魅力を書いておりますが、いせひでこさんの色彩の波が、本当に美しいのです。生き生きとした筆の動きと、それなのに穏やかな空気が流れ、光と影、静と動、時間、風、いろんなものを体感しているように引き込まれてしまいます。以前、いせさんの描いたゴッホの絵本を紹介しましたが、この絵本に感じられる「光」からはモネを思い出す人もいるのではないでしょうか。
なにより、お話が絵を引っ張っていくのでもなく、絵がお話を進めていくのでもなく、1ページ1ページがお互いのために誂えられたような、互いに主役であるように見事に寄り添いあっていて、それは絵本にとって当たり前の要素なのですが、こんなにも実現できている作品はそう多くありません。
この時期に読んで、また夏が終わる頃に読んでみると感じるものも違うのかもしれませんね。是非、何度も読み返してみていただきたい絵本です。
気になりましたら是非サイトをご覧になってみてください。
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「むぎわらぼうし」いせひでこ
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