エリック・サティの音楽を言葉で言おうとすると、新しくて古く、悲しくも愉快、そんな、相反する言葉の組み合わせになってしまうのでどう言えば良いものか困ってしまいますね。
このサティを描いた絵本「サティさんはかわりもの」でも、そんなサティの人生の持つ不思議な二面性が折々に語られています。
一般的には生涯不遇な音楽家でしたが、友人には恵まれ、その芸術家仲間たちからは非常に評価されました。
シャノワールでのエピソード、ヴァラドンとの恋、そしてバレエ・リュスでのコクトーやピカソとの仕事、サティは金銭的には成功を収めることは出来なかったかもしれませんが、偉大な仕事を成し遂げました。
偉大、という言葉ほどサティに似つかわしくない言葉も無いかもしれませんが、サティの可笑しくも切ない豊かな人生がこの絵本で知ることが出来ます。
ゆっくりと歩くようでも、急いでいるようでもある、中世的で現代的、すごく小さい要素のようで、それが全体のようでもある、サティの音楽は、彼の人生にも響いているようです。
その象徴的なエピソードがこの絵本にも描かれています。
1925年に帰らぬ人となったサティ。
お葬式の日には、
サティが住んでいた
アパートの近くの教会に
詩人も音楽家も画家も
そろってあつまり、
お別れをした。
墓地に埋葬されているあいだにも
教会ではだれかの結婚式がとりおこなわれたいた。
サティの音楽そっくりにうれしさだけでも悲しさだけでもない、
うれし悲しいひとときだった
サティの曲はそんなふう。
あとがきに訳者の一人である今江祥智さんが書いていますが、読み終わった後にサティの曲が聞きたくなる、そんな絵本なんです。
私も引っ越しの時からしまったままでいる、高橋悠治さんのサティのCDを、これから引っ張り出して聴くところです。
当店在庫はこちらです。
「サティさんはかわりもの」ペトラ・マザーズ
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