今日は横浜も春らしい良い天気でした。風が穏やかで日差しが暖かく、見上げれば空は白く霞んで。
午前中に洗濯物を干す時にベランダに出ると、小さなものが何か落ちているのが目に入り、手に取って眺めてみると、それはミツバチで、日向で死んでしまっていたからか、ミツバチは少し暖かかったのです。
この感じは何か読んだことがある気がすると、ぼんやり思ってのですが、思い出したのはマーガレット・ワイズ・ブラウンとレナード・ワイスガードの絵本「ワイズ・ブラウンの詩の絵本」と言う本でした。
この「ワイズブラウンの詩の絵本」は当店でも度々紹介しているアメリカ絵本の巨匠二人による絵本です。原書タイトルは「Nibble nibble : poems for children」となっているように、ワイズブラウンが書いた子どものための詩に、ワイスガードの絵が付けられた本になっています。
虫や動物、自然の詩、海の生き物の詩、ちょっと変わったところでは玉ねぎの詩なんていうのもあって、そのどれもが、子どもが親しみやすいようにうたわれています。
子どもが親しみやすいとっても、それは易しい言葉を使っている、などと言うことではなく、その詩の視点が、子どもに寄り添っているという事なんだと思います。
虫や自然、動物たちへの共感、驚き、そして発見に満ち溢れた視点で、子どもたちが見ているものを、より良く見るように導いてくれるかのようにうたわれているのです。
その視点は子どもであって、子どもでなく、その視点は虫や自然たちであって、全くそういうわけでもない、その間にある視線の交換が囁いている言葉のように聞こえてきます。
めをとじて
おかのうえの ちいさなろばくん
そらをみあげて へんてこなかお
いつまでじっとたってるの?
さあめをとじて ちいさなろばくん
きのてっぺんのおさるさん
そらにココナッツほうりなげ
ようきにぶらりん ゆらりんりん
さあめをとじて おさるさん
かわいいこえのことりさん
よるがそらをつつみだす
はねのしたに あたまをしまって
さあめをとじて ことりさん
ベッドにはいった ちいさなこども
ねむたそうな かおしてる
そらのほしも しずかにみてる
さあめをとじて おやすみおやすみ
ミツバチの固まってもう動かない肢体をじっと眺めた時の懐かしさは、子どもの頃の今とは違った感覚の記憶と重なったものなのかもしれません。
春の日向で死んでしまったミツバチの、不思議な暖かさもった詩が、幾つも収められています。
この絵本の最後は「し」と言う詩で締めくくられています。
その詩はこんな風に始まっています。
きいたことのある うたがある
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「ワイズ・ブラウンの詩の絵本」マーガレット・ワイズ・ブラウン レナード・ワイスガード
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