今日は立春を前にして、横浜は暖かい一日になりましたが、こちらの長崎源之助さん、鈴木義治さんによる「雪はちくたく」は冬の絵本です。
舞台は恐らく東北、秋田の山の中の村、時代は昭和初期くらいだと思われます。
毎年冬になるとその村にやってくる「ちくたくさん」は子どもたちに人気の時計の修理屋さんです。
いろいろな場所を周っているちくたくさんは、子どもたちに山の向こうの村の話や、そのもっと向こうの都会の話、それからもっともっと向こうの東京の話などを聞かせてくれます。
来る度にいつも子どもたちに囲まれて慕われていたのですが、その冬はちょっとした誤解から、ちくたくさんは村の地主様に濡れ衣を着せられ、村を追い出されてしまいます…。
少年時代の思い出、山間の小さな村、吹雪の夜に、納屋の中でちくたくさんと一緒に一晩を過ごした、そんな美しい思い出が瑞々しく描かれたお話なんです。
この絵本は鈴木義治さんの絵の多くが見開きで描かれているのも、魅力ですね。
絵本の途中で、テキストがなくなって絵だけになる瞬間には、物語に吸い込まれ、包まれるような感覚になるのですけど、これも絵本を読む幸せのひとつだと感じます。
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「雪はちくたく」鈴木義治 長崎源之助
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