「雪の童話集」宮澤賢治 佐藤昌美

度々紹介している宮沢賢治の絵本ですが、こちらは「雪」にまつわる童話を三篇集めた「雪の童話集」と言う絵本(絵本と言うには絵が少ないかもしれませんが)です。

収録されているのは「水仙月の四日」「氷河鼠の毛皮」「ひかりの素足」の三篇ですね。

この三篇に共通しているのは「雪」そして「慈悲」でしょうか。

特に素晴らしい作品と感じるのは「水仙月の四日」「ひかりの素足」の二編です。

この二作品は対になっていると見ることも出来るかもしれません。

片方は幸せな結末を、もう片方は悲しい結末を迎えるお話なんです。

「水仙月の四日」は雪の中を歩く一人の子供と雪を降らせる妖怪、妖精たちのお話です。宮沢賢治の雪の表現、そして銀世界のキャンバスにぽとりぽとりと色を落としていくような風景描写は圧倒的です。

そして三篇の中で一番長い「ひかりの素足」は二人の、まだ幼い兄弟の愛と献身のお話です。ゾッとするような描写から、胸がキリと痛むほどの美しい結末、雪に覆われた世界に灯る、小さな生命の輝きがいつまでも溶けずに胸に残ります。

暑さにうだる夏よりも、寒さに凍える冬のほうが、この身体が「生きている」と言う思いを強く感じるのは自分だけではないでしょうか。

宮沢賢治がまっ白な雪の中で輝く生命を描いたのを読むと、そんな風にも思ってしまいます。

絵を手掛けているのは佐藤昌美さんです。

賢治の描く銀世界の宇宙のある部分を、見事に切り取って私達に見せてくれています。


オンラインストアの方では現在当店の宮沢賢治の絵本を一番上の方に並べましたので、色々と御覧ください。

また、先日ご紹介して反響の大きかったいせひでこさんによるゴッホとテオの絵本「にいさん」も再入荷しております。もし宜しければこちらも是非ご覧下さい。


当店在庫はこちらです。

雪の童話集」宮澤賢治 佐藤昌美

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