五味太郎さんはやっぱり詩人なんです。
それをはっきりと認識したのはこの「もみのきそのみをかざりなさい」を読んでからでした。
この絵本は開くと右ページに夜の中にあるひとつのモチーフが描かれ、左ページにはそのモチーフに対する言葉が添えられています。
その言葉は星や鮫や猫、ピアノや家に、囁く様な穏やかさで命令をする声なんです。
「ほし めざめなさい」
クリスマスの絵本ですから、これらは神様の声でしょうか。
はっきりとそう言える感じでもないのですけれど、その対象を見つめる優しい視線が感じられる囁きなんです。
それぞれの「名詞/モノ」に促される「動詞/動き」の組み合わせの距離がとても面白く、読んでいて気持ちが良いです。
「みち こころみなさい」
描かれているのはすべて夜の場面で、皆がその夜に、何処からか聞こえてくる囁きに耳を澄ましているように、いつの間にかこの絵本を読む自分も、一緒になって耳を澄ませています。
静かな夜の中で、短い言葉たちが響いています。
ほし めざめなさい
さめ わすれなさい
みち こころみなさい
はな おしゃべりをやめなさい
いえ たびにでなさい
ふくろう なぞをときなさい
じてんしゃ おもいだしなさい
もみのき そのみをかざりなさい
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「もみのきそのみをかざりなさい」五味太郎
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