今日も爽やかな天気でしたが、風の中にははっきりと、冬の匂いを感じる日でした。
外に出るのも、家の中で本を読むのも、どちらにしても楽しい季節ですね。
本日もオンラインストアに新着商品を更新しております。
本日の更新分の中の一冊、エドワード・アーディゾーニの「ルーシーのしあわせ」は珍しい一冊ですね。
1976年刷で、もう絶版になって随分と経つ本です。
アーディゾーニの絵本で「ルーシー」と聞くと、チムシリーズの「ルーシー」を思い浮かべる事が出来ると思うのですが(その「チムとルーシーとかいぞく」は本日フランス語版を更新しております)、この絵本の主人公のルーシーは勿論、そのルーシー、ルーシー・ブラウンです。
そもそも、アーディゾーニのチムの絵本はアーディゾーニの息子、フィリップのためにつくられたもので(最初のチムの絵本「チムとゆうかんなせんちょうさん」は1936年)娘のクリスティアナのためにつくられたのがこの「ルーシーのしあわせ」(1937年)なんですね。(チムとルーシーが出会う「チムとルーシーとかいぞく」は1938年です)
お話は、両親のいない子ども、ルーシー・ブラウンと、こどもの好きなおじいさん、グライムズさんの心の交流のお話です。
おばさんと一緒に暮らすルーシーはいつも一人ぼっち。
おばさんはいつも忙しくて相手にしてくれず、公園にいる子どもたちには皆お父さんかお母さんがいて、ルーシーとは友達になってくれそうもありません。
そんな時に出会った、グライムズさん。
二人はすぐに仲良くなって毎日が楽しくなるのですが、そんな折にグライムズさんが病気になってしまい…。
お話の結末はぜひ手にとって読んでみて下さい。
絵本の中でルーシーが洋服を買う場面があるのですが、女の子はこういうのすごく好きなんじゃないかな?と思えるような面白い描き方がされていて、子どもから大人まで楽しめる絵本だと思います。
大人が読むと、この絵本の隠された影の部分も見ることが出来ると思うのですが、そうした奥深さを感じられるのも、この絵本の優れた部分だと思います。
例えば、ルーシーと一緒に暮らす「おばさん」の異様なまでのルーシーへの無関心(普通に読むとそこまでは感じないかもしれませんが、注意深く読めば、その部分を強く感じます)。
また、お話の最後、しあわせな結末へと向かう部分があまりにも「しあわせ」に溢れていて、これは「ほんとうのこと」なのだろうか?と少しだけ、不安な感じを持ってしまいます。それはマッチ売りの少女の、幻のようにも思えてしまうのです。
最後の、少し前の文章「ながいあいだ たびをして、きれいな しろいいえに つきました」という言葉も、自分は何処か寂しい色を感じてしまいます。ルーシーのこれまでの不幸な人生を暗に示しているようなんですよね。
それでも、この文章、言葉は自分はとても好きです。
「ながいあいだ たびをして、きれいな しろいいえに つきました」
時間の奥行きと、切なさがあって、いつもポケットに入れて、持っておきたいような言葉です。
そして、この日本語版にはなんと、日本語版の刊行に寄せたアーディゾーニの言葉が一番初めに掲載されています。これも嬉しいですね。
ぜひオンラインストアの方でも御覧ください。
当店のエドワード・アーディゾーニの絵本はこちらです。
ちなみにこの絵本はお客様から買い取らせて頂いた絵本です。
当店では本の買い取りをさせて頂いておりますので、ご整理される本があるときには是非当店HPの買い取り申し込みフォームにてお問い合わせ下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
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