「MARC and PXIEI」Louise Fatio Roger Duvoisin

猫とネズミのお話は度々見かけますが、こちらは少し珍しい猫とリスのお話。

アンジェロ氏は愛するジョーンズ夫人の庭に大好きな石を積んで立派な塀を建てました。

アンジェロ氏を大好きなジョーンズ夫人も、大喜び。そしてアンジェロ氏が石塀を作るのが好きなら、リスのマークはその石の塀の隙間が大好きでした。ちょうど良い大きさの穴がいっぱいの柄はリスたちにとっては快適な住処。

リスのマークは彼の奥さんと子どもたち、兄弟、叔父さん叔母さん、おじいさんおばあさん、それから友だちたちも引き連れてみんなでそこに住むことにしました。しかし、間も無くしてジョーンズ夫人が1匹のシャム猫を連れてきました。平和で楽しいリスたちの町は一変、シャム猫ピクシーに追いかける日々が始まります。

ある日ついにマークが捕まってしまい、ジョーンズ夫人の部屋へ咥えられていきました。それを見たジョーンズ夫人はピクシーにやめるように叱ります。逃げるマーク、それを追うピクシー、それを追うジョーンズ夫人、アンジェロ氏も加わって、寝室中が大騒ぎ。

ピクシーが窓から飛び出て行ったところでようやく逃走劇が終わり、それぞれが眠りにつきます。翌日弱ったマークは鳥かごに入れられ、窓から飛び降り手を怪我したピクシーは包帯を巻かれ、2匹は同じ部屋の中へ。そこでお互いの姿をずっと見つめながら過ごすうちに2匹の間には…。


全体を通してのお話も、その行程にある展開も、程よいテンポとユーモアで読み進められとても面白いのですが、この本では更に、文章の書き方に特徴があり印象的です。


例えば寝室での追いかけっこのシーンでは「ピクシーはシマリスのマークを追いかけた。シマリスを愛したジョーンズ夫人はピクシーの後に忍び寄った。ジョーンズ夫人が愛したものを愛したアンジェロ氏も彼女を助けるために追いかけた」と言った具合に、積み上げ歌のような調子で書かれているんですね。そう言った箇所が随所にあって、読むとおかしみが増し、物語全体のハッピーな空気をより感じられるんです。


日本でも人気のロジャー・デュボアザン、ルイーズ・ファテオ夫妻によって描かれたこちらの本は、まだ邦訳されていない作品です。翻訳されたらきっと子どもも大好きだろうな、あの人に翻訳してもらいたなぁ、などとついつい想像してしまいます。


少し文章量はありますが、上記のような書き方でとても読みやすく、面白さもわかりやすいので、英語が苦手な方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。


猫とリスの楽しく優しいお話。デュボアザンファン以外の方にもおすすめの一冊です。


当店のデュボアザンの絵本はこちらです。

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