「おばあちゃん」「ひとり」谷川俊太郎 三輪滋 Tanikawa Shuntaro Miwa Shigeru

本日は三輪滋さんのと谷川俊太郎さんによる絵本「おばあちゃん」そして「ひとり」を紹介させて下さい。

「おばあちゃん」は長らく絶版状態だったのですが、つい先日に復刊されましたね。素晴らしい絵本ですので、また新たな読者を多く獲得するのではないでしょうか。

以前には伝説の絵本、などという形容も耳にしたことのある絵本で、認知症のおばあちゃんのいる家庭の、孫の一人称、と言いますか、ひとり語りの絵本になっています。

谷川俊太郎さんによるその孫のひとり語りはほとんど詩そのもので、人間関係のすき間に吹く風を、子どもらしい時に残酷で、時に温かい視点で描いています。

非常に繊細なテーマなのですが、命の尊厳というものに真正面から迫る優れた絵本ですので、こうした絵本を入り口に、お子さまと話し合うこともとても大切かと思います。

勿論大人の方にも、今一度その尊厳の論拠を確かめて見て欲しいです。

そしてもうひとつの絵本「ひとり」です。

こちらもひとりの男の子の一人称の絵本です。

大人たちに世界の価値観を押し付けられる子どもが、外の世界へと出るのとは反対にその心のなかに広い広い世界を作り出していくお話です。

ぼくはひとりでいるのがすき

I like to be by myself

せんせいはともだちとあそびなさいというけれど

Teacher says I should play with the other kids

ともだちはぼくをいじめる

But the other kids always tease me

はじめにこの言葉から語り出す男の子が、次第に心の内側へと世界を広げていく様を見ると、涙が出そうになります。

ぼくというにんげんはひとりしかいない

There’s only one ‘me’ in the whole world

ひとりでもぼくはひとりぼっちじゃない

ぼくはとんぼとともだち

I’m all alone,but I don’t feel alone

I’m friends with the dragonflies

かぜとともだち

そらとともだち

ほしとともだち

Friends with the wind

friends with the sky

friends with the stars

三輪滋さんの描くポップで乾いた絵は、この男の子の内側を満たしている夢想と寂しさを世界に反転させ現出させているようです。

寂しさを抱えているすべての人に読んで欲しい一冊です。

この2冊の当店在庫商品は復刻版ではなく、ばるん舎によるオリジナル版です。是非オンラインストアでも御覧ください。

おばあちゃん

ひとり


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