「THE LORD'S PRAYER(1934 First Edition)」Ingri & Edgar Parin D'Aulaireドーレア夫妻の絵本は日本語にも幾つか翻訳されているのでご存知の方も多いかと思います。(「ひよこのかずはかぞえるな」「トロールものがたり」など)エドガー・ポーリン・ドーレアは1898年スイス生まれ、ハンス・ホフマン美術学校(ミュンヘン)では、マティスに指導を受けていたようです。イングリ・ポーリン・ドーレアは1904年ノルウェー生まれ、イングリも同様にミュンヘンのハンス・ホフマン美術学校に通っていたようですね。その後二人は1925年に結婚、ドイツやフランスなどで美術学校に通ったり、絵の仕事をしつつ、1930年代前半頃からアメリカ、ニューヨーク拠点を移し、39年に子どもが生まれた後はコネチカットに移りそこで農場を構え、創作活動を続けました...22Mar2024news日々の絵本Blog
「I'm nobody who are you?」西田陽子 エミリー・ディッキンソン現在当店で開催中の西田陽子さんの銅版画展「Memory like melody」の中で、一番大きな作品がこちらの「I'm nobody who are you?」です。今回の個展は、当初西田さんから何かテーマとなるようなものが無いかとご相談を受け、そこで自分が幾つかご提案をし、その中から西田さんに、アメリカの詩人エミリー・ディキンソンを選んで頂いたのでした。そのディキンソンの詩作品から西田さんがインスパイアを受け、制作した幾つもの作品の中でも、個人的にも特に目を瞠る作品がこの「I'm nobody who are you?」です。女性の横顔。花を指でつまんで、風が吹いているようなので、外にいるのでしょうか?物思いに耽るような、遠くを...07Mar2024newsBlog
「大聖堂」レイモンド・カーヴァー/シバタリョウシバタリョウさんの個展「窓からの景色」の作品は昨日からオンラインストアでも販売を開始しております。こちらはアメリカの小説家レイモンド・カーヴァーの『大聖堂』から描いた3作品です。この『大聖堂』という作品はカーヴァーの中でも特に評価が高い短篇の一つかと思います。お話は、とある夫婦のところへ、妻の昔の知人である盲人が泊まりに来る、というものです。夫は盲人が泊まりに来るなんて、何かちょっと面倒だな、と思っている、けれど妻はこの知人とは、特別な思い出があるので、気持ちよく過ごして欲しい…、そんな少しだけすれ違っている夫婦の気まずい家の中の空気。妻は、結婚するずっと前にひと夏、この盲人のところで代読のアルバイトをしたことがあり、それ以来、ふた...09Feb2024newsBlog
『鳥さしの唄』ジャック・プレヴェール/シバタリョウ現在開催中のシバタリョウさんの個展「窓からの景色」ではメインビジュアルの絵はフランスの詩人、ジャック・プレヴェールの詩『鳥さしの唄』からシバタさんが絵を描いているのですが、今日2月4日はジャック・プレヴェールの誕生日でした。1900年なので、生誕124年ですね。今回の個展ではこのメインビジュアルの他にもう1点、プレヴェールの詩から描かれたもの「血と羽根」もあるのですが、その紹介はまた後日。『鳥さしの唄』(小笠原豊樹 訳)とても静かに飛ぶ鳥血のように赤くて暖かい鳥とてもやさしい鳥 ひとをからかう鳥だしぬけにこわがる鳥だしぬけにぶつかる鳥ほんとうは逃げたい鳥孤独な狂った鳥ほんとうは生きたい鳥ほんとうは歌いたい鳥ほんとうは叫びたい鳥血のよ...04Feb2024newsBlog
「動作」シバタリョウ個展「窓からの景色」よりシバタリョウさんの個展『窓からの景色』昨日から始まりました。当店としてはシバタさんの個展は2年半ぶり、2回めです。当店のショッパーやショップカードも描いて頂いているので、当店の世界観が好きな方にはきっと気に入って頂ける作家さんだと思います。本個展は前回のシバタさんの個展同様、自分がいくつかの文藝作品を選び、その中からシバタさんが描きたいと感じたものを、描いて頂く形になりました。プレヴェール、エリュアール、シュペルヴィエル、ファージョン…。この並びで既にうちのお店っぽいですよね…。さて、こちらは『動作』という作品です。フランスの詩人、ジュール・シュペルヴィエルの同名の詩から、シバタさんが描いたものです。この詩は自分がフランス語の勉強を...02Feb2024newsBlogイベント
「MARCELLA:A RAGGEDY ANN STORY」Johnny Gruelleジョニー・グルエルのラガディ・アンシリーズ。100年以上前にアメリカで生まれたこのシリーズは、その最初の作品「Raggedy Ann Stories」(1918年)が発売された当初から人気を博し、多くの人に愛されてきました。もう誰もが知っている本/キャラクターだと思うので、当店でわざわざ力を入れて取り扱うものでもないかな、と以前は思っていたのですが、ジョニー・グルエルがP. F. Volland社(1910’s〜20’s頃にアメリカのアールデコの流れを汲んだ画家や挿絵画家が、この出版社で幾つもの美しい子どものための本をつくっています)でこのシリーズを出版していたことを知ったり、この絵本「MARCELLA:A RAGGEDY ANN ...03Nov2023news日々の絵本Blog
「CINDERELLA」(1939年)Leonard Weisgard日本語にも多くの作品が翻訳され、愛されているレナード・ワイスガード。その最初期の作品『CINDERELLA』を先日、オンラインストアに出しております。絵本作家としてのデビューは37年の『Suki, the Siamese Pussy』だと思うので、この1939年出版のシンデレラは恐らく2作目か3作目ですね。(この本の中のコピーライト表記は38年なのですが、ワイスガードの公式HPのビブリオグラフィーページには39年と記されているため39年としました)現代の作家と組んで絵本を作っている印象が強いので、こうした古典童話の絵本を作っているのはちょっと意外な感もありますね。絵柄も、やはりワイスガードだなと言う部分もあれば、自分の良く知っている...29Jun2023news日々の絵本Blog
「ANIMAL LAND」Sybil and Katharine Corbet1897年にスコットランドで出版された、奇書とも言っても良いような、なんとも不思議な魅力を放つ絵本『ANIMAL LAND』が昨年、アメリカの本屋兼出版社である、50WATTSから復刻出版されました。この絵本の作者は4歳の女の子Sybilとその母親のKatharine Corbetです。すべての始まりは彼女が3歳の頃、人が誰も住んでいない『ANIMAL LAND』のお話を聞かせて欲しいと、母親にせがみ始めたことでした。それからは、シビルが自身でその『ANIMAL LAND』にいる不思議な動物たちのことを、詳しく語り始めたのです。娘が語り、母が描いた、想像上の架空の国の動物たち。誰も見たことのない、誰も見ることのない、2人の交わす会話...27Jan2023news日々の絵本Blog
杉本さなえさんのクリスマスカード毎年、当店のお客様宛に送らせて頂いているクリスマスカードですが、今年はイラストレーターの杉本さなえさんに描いて頂きました。当店を懇意にして頂いているお客様にはもう既にお手許に届いているかと思いますが、こちらのクリスマスカードは現在、1000円以上当店でお買い物をしていただいた方にお渡しをしております。(店頭、オンライン問わず、12月25日まで。数量限定)また、このクリスマスポストカードの原画ですが、12月25日まで、お店で飾らせて頂いております。お立ち寄りの際はぜひこの原画もご覧ください。杉本さんに描いて頂いた絵についてですが、自分からはクリスマスカードを...と言ったお願いだけで、お任せで描いて頂き、このような素敵な絵を描いて頂き...10Dec2022newsBlogイベント
スタッフの募集は締め切らせて頂きましたこれから面接させて頂く方も居るのですが、一旦、アルバイトスタッフの募集はここで締め切らせて頂きました。ご応募頂いた方、気にして頂いた方、誠にありがとうございました。採用させて頂くにあたって、ちょっと考えたことを少し書かせて頂きます…。アルバイトとは言え、もし当店で働いて頂いたら大なり小なりその方の人生に影響を与えることが(ちょっと大袈裟な言い方ですが)色々あると思うんですよね。その事に対して責任を持ちたいと思ったのですけれど、自分の解釈としては、責任を持つことは、それは当店で働くことがその方の良い経験としてプラスに作用する、そのプラスの幅がなるべく大きいと思える人を採用するべきだと考えました。ですので今回不採用となった方々は、その能...28Aug2022newsBlog
「ハムおじさん」大桃洋祐大人も子供も楽しめる絵本って意外と少ないんですけれど、大桃洋祐さんの新刊「ハムおじさん」は本当に、子どもから大人まで楽しめる絵本だと、感嘆してしまいます。大人が見ても、素敵だなオシャレだな、と感じる絵でありながら、子どもも楽しいと感じることの出来る絵。イラストレーションが本当に素晴らしいんです。色を多く使っていながらもそれが派手にけばけばしくはならずに、とても楽しく優しい画面になっています。絵が、本当に何処をとっても『楽しい』のです。人物の動き、そしてカメラの寄りや引きのリズム、場面の切り替え、巧みに計算されていながらも、とても肉体的に感じます。しばしば思うのですけれど、ある種類の良い絵本って、すごく読者の身体に作用すると言いますか...12Nov2021news日々の絵本Blog
「新しい日々 芝木好子小説集」戦後の女流文学を代表する作家、芝木好子の晩年の短篇8篇を纏めた作品集が書肆汽水域より出版されました。この本に収録されている作品はどれも人間の恋愛が、それぞれの物語の中で淡く、強く、輝きながら光を放っています。遠い過去の恋が、現在をふと光で照らすその一瞬が切り取られているのです。描かれる恋愛は、多くはその只中にあるのではなく、過去に心に強く結ばれた紐を、そも結び目が未だに解けないままでいるのか、それともそれは固く結ばれていたように見えていただけの、見せかけの結び目だったのかを、確かめているようです。学生時代に憧れた少し年上の画家を、結婚した後に夫の出張で訪れたパリで、ひとり尋ねに行く女…。青年の頃にあった空襲の最中、暗い防空壕で夜をと...10Oct2021newsBlog文学