「A Very Very Special Day」Frances Ullmann DeArmand Tom Vroman先日更新した「A Very Very Special Day」(Frances Ullmann DeArmand×Tom Vroman)は可愛らしく、楽しい本です。「今日は何の日だかわかる?とっても、特別な日だよ!」そんな問いかけから始まるこの絵本。ページをめくると、その後、1年の『特別な日』をお正月からだんだんと、季節を追って、それはこの日?それともこの日?と問いかけ、答えていきます。「Is it new year’s day?」「No, but it is the beginning of another year.」「Is it Valentine’s day?」「Many people say,”I love you”on ...12Dec2021news日々の絵本
「ハムおじさん」大桃洋祐大人も子供も楽しめる絵本って意外と少ないんですけれど、大桃洋祐さんの新刊「ハムおじさん」は本当に、子どもから大人まで楽しめる絵本だと、感嘆してしまいます。大人が見ても、素敵だなオシャレだな、と感じる絵でありながら、子どもも楽しいと感じることの出来る絵。イラストレーションが本当に素晴らしいんです。色を多く使っていながらもそれが派手にけばけばしくはならずに、とても楽しく優しい画面になっています。絵が、本当に何処をとっても『楽しい』のです。人物の動き、そしてカメラの寄りや引きのリズム、場面の切り替え、巧みに計算されていながらも、とても肉体的に感じます。しばしば思うのですけれど、ある種類の良い絵本って、すごく読者の身体に作用すると言いますか...12Nov2021news日々の絵本Blog
「子どもの本で平和をつくる イエラ・レップマンの目ざしたこと」「子どもの本で平和をつくる」強い意志を感じる題、そしてこの言葉の持つ意味の美しさ。この絵本を前にして、読む前に何度も私は「子どもの本で平和をつくる…」「子どもの本で平和をつくる…」と心のなかで繰り返してしまいました。この絵本は、IBBY(国際児童図書評議会)の創設者のひとり、イエラ・レップマンの物語です。1891年ドイツに生まれたレップマン。戦禍の中二人の子どもを連れてドイツからなんとか逃れ、戦後すぐにまたドイツに戻ったレップマンは戦争で大きな傷を負ったドイツの子どもたちのために活動を始めます。爆撃で図書館の崩れた街に、世界中から子どもの本を集めて、展示会を開きたい。レップマンの情熱は多くの人々を動かし、子どもたちに本と触れ合う機会...01Oct2021news日々の絵本Blog
Gerlach's Jugendbücherei ゲルラハ青少年叢書少し前から、ゲルラハ青少年叢書のシリーズを幾つか更新しております。この叢書は、20世紀初頭に出版人であるマーティン・ゲルラハによって出版された、子どものための本のシリーズです。『青少年の文学教育と芸術教育のための書籍の宝庫』をコンセプトに、一流の芸術家達によって作られた子どものための本のシリーズ。芸術家たちを起用し、高い質の子どものための本を作ったシリーズというのは幾つもあると思いますが、このシリーズの特徴は1900年初頭のオーストリアで作られたということ、つまり当時のユーゲント・シュティールという大きな芸術運動の中で作られたシリーズということでしょうか。参加しているアーティストもユーゲント・シュティールの著名な画家が多く参加してお...25Sep2021news日々の絵本
Eric Carleの詩画集今日更新した3冊の詩画集のシリーズ、実はこれ、どれも挿絵をエリック・カールが手掛けているんです。1965年〜67年にかけての仕事で、絵本作家としてのデビューが68年(『1、2、3 どうぶつえんへ』)なので、その前夜の仕事としても興味深く見る事ができます。デビュー作の『1、2、3 どうぶつえんへ』を見ると、ほんとうにエリック・カールは最初からエリック・カールなんだなぁ、すごいな、と思うのですけれど、この詩画集のシリーズはそうしたエリック・カールのイメージからは少し違っていて、デザイン的な感覚が強く感じられます。3冊それぞれのテーマに沿った、様々な著名な作家の詩や短文を、Louise Bachelderが選んで編集したものに、エリック・...23Sep2021news日々の絵本
「秋」かこさとし秋が一番好きです。9月になって、こうもはっきりと季節が変わるのも珍しいというように、すっかり涼しくなりました。雨が続いていましたけれど、今日は少し晴れ間も。かこさとしさんの『秋』は出版されるまま眠っていた原稿が、今回初めて日の目をみて、出版となった絵本です。加古さんの青年時代ある秋を描いた自伝的なこの作品は、こんな風に始まります。『トウモロコシの葉が風にゆれています。ヒガンバナの行列ができています。秋になりました。私は秋が大好きです。』そんな、秋が大好きな加古さんは、とても嫌な秋を過ごしたことがありました。それは1944年の秋のこと。盲腸の手術をして長く入院をすることになった秋。手術をしてくれた楽しい先生が、戦争へ行った秋。澄んだ空...05Sep2021news日々の絵本
「Die Liederfibel」Heribert & Johannes Gruger今日更新しました、Heribert & Johannes Grugerによる「Die Liederfibel」はすごい絵本です。歌の絵本なのですけれど、ちょっと開いてみると、なんだ…この絵…、なんか変だな…、と不思議な感覚があります。反復が多用されていて、イラストとしてもデザインとしても少し奇妙に感じるんですね。何故このような絵が描かれているか、開いたページ全体を見渡すと、ハッと気が付きます。左が楽譜、右にイラストが描かれているのですが、イラストの方も、その楽譜を踏襲した形で描かれているんです。楽譜の音程の高低が、イラストの並んだ人や物の高低で現され、音の長さも、その並んだ人や物が変化していることで、その違いが表現されていま...03Sep2021news日々の絵本
「Olles Skidfard(1952年版)」Elsa Beskow(エルサ・ベスコフ)今日はあんまりにも暑いので、もう正反対の季節の冬の絵本を。ここのところ、エルサ・ベスコフの少し古い刷りの絵本が幾つか入っておりましてオンラインストアにも少しづつ更新をしております。1910年代やそれ以前のものはなかなか入ってこないのですが、40’s〜60’sのものは最近は幾つも店頭に入っております。こちらは1952年刷スウェーデン語原書版の「Olles Skidfard(雪のおしろへいったウッレ)」です。日本語にもなっているベスコフの中でも人気の絵本の1つなので、お好きな方も多いのではないでしょうか。待ちに待った冬が来て、もらったばかりのスキー板で飛び出したウッレはそのまま冬の冒険へ…、冬を思う存分に楽しんだ後にはまた、春がやってく...26Aug2021news日々の絵本
「Die k.k. Hofzuckerbackerei Demel Ein Wiener Marchen」 Federico von Berzeviczy-Pallavicini皆さんお菓子好きですか?ちょこちょこ話題に上げているので、ご存じの方も多いと思いますが、我が家は夫婦揃ってお菓子、すごく好きでして…、妻と自分は同じ趣味を楽しめることが比較的多い夫婦なのですけれど、スイーツ好きはその筆頭格なんです。一応専門(得意分野?)はフランス菓子(特に生菓子)なのですが、甘いもの全般好きですね…。これは半分ネタのようなものなのですけれど、ケーキ食べればそのパティシエさんがフランスで修行したことがあるかないかがわかります(笑)。余計な話が長くなってしまいましたが、今日のこの本はウィーンの老舗洋菓子店『デメル』のグラフィック&ディスプレイデザインの本です。出版は1977年、3000部限定で出版され、その中に...22Aug2021news日々の絵本
「See and Say」Antonio Frasconi『博物画』と言うわけではないですけれど、なにか『物』を描いている絵って、好きです。皆さん、そうしたタイプのアーティストですぐに思い浮かぶのはフィリップ・ワイズベッカーなどでしょうか?ワイズベッカーも良いですよね、好きです。この絵本は、ワイズベッカーのように『物自体』を描くことが全面に出ている絵本ではなく、色々なものの、四つの言葉(英語、イタリア語、フランス語、スペイン語)で何と言うかが描かれている(複数の)言葉と物の絵本なんです。四ヶ国語言葉絵本ですね。けれど、いつも木版画で美しく楽しい絵を見せてくれるアントニオ・フラスコーニのこちらの絵本を、そうした『物自体が描かれている』という視点で見ると、また違った見方が出来て面白いです。椅子...20Aug2021news日々の絵本
「ROMEO UND JULIA」Luigi da Porto Felix Hoffmannフェリクス・ホフマン挿絵の『ロミオ&ジュリエット』そう聞いた瞬間に、ああ、それはとても良さそうだな、と思っていただける方も多いのではないでしょうか?木版で描かれるホフマンの、あの素朴ながらも情感漂う絵であの物語が語られるのかと思うと自分も、これは…、と期待に胸を高鳴らせ、本を開いたのでした。ところでこの『ROMEO UND JULIA』は良く知られているシェイクスピアの戯曲「ロミオ&ジュリエット」ではないんです。本書はイタリアのLuigi da Portoによるもので、シェイクスピアの戯曲の元となった作品の一つですね。シェイクスピアの戯曲は多くは、既存の伝説や物語をベースにしたものが多く「ロミオ&ジュリエット...14Aug2021news日々の絵本
「ちいさなぬくもり 66のおはなし」皆さんは、眠る前に本を読みますか?自分も色々なところで読みますけれど、でもやっぱり一日の終りはベッドで本を読んで、眠りたいです。それが幸せなことだと思っているのは、幼い頃の記憶と関係しているのでしょうか。子どもに、眠る前の本の読み聞かせをしながらいつも思うのは、どうか幸せな気持ちで眠ってほしいなあ、という事です。そうして、眠る前に本を読むのは何だか幸せなことだと思ってくれたら、大きくなってからも、それがどこかで心の支えの一つになってくれる気がするのです。立川のPLAY! MUSEUMで開催中の『誕生65周年記念 ミッフィー展』にあわせて発売された本「ちいさなぬくもり 66のおはなし」が当店にも入荷しております。ディック・ブルーナと親...12Aug2021news日々の絵本